わたしはある頃からか継母の虐待や異母姉、異母妹から逃れるように安い賃貸住宅でひとりで暮らすようになっていた。
そんなある年の年末年始に実家へ帰った。まぁ、今から考えてみれば歓迎もされないのに帰ったわたしがバカなのである。
実家で大掃除を手伝い、少し、食事をして、帰ろうとしたとき継母がなにやら、いそいそと玄関先に出てきたのである。「ちょっと待って、これ持って帰って!」わたしはなんだろうと思い、ふと、継母の手元を見ると大きなポリ袋をふたつかほど持っている。
継母は言う「ちょっとアンタ、これ持って帰って、そっちで捨ててくれへん」
「もう、はぁ?、何言うてんのこの人」である。継母の手に握られていたのは大きなゴミ袋が二つか三つで中身はお正月のおせち準備のゴミやパッケージ、お魚やエビの殻など、ありとあらゆるものが入れられていた。
わたしはバカだから、お正月の年末年始には何か美味しいものを食べなさいということで何かお持たせでもしてくれるのかな?と思ってちょっと喜んで振り返った。
しかし、それはそんなものではなくてゴミだった、わたしはがっかりとともに「そんなたくさんのゴミ、持って帰られへんし、捨てるところもない」と断った。
そうすると継母は「あーそうなん」と台所へ引っ込んでいった。わたしはとても気分の悪い思いで靴を履いて実家を後にした。